伊豆だより  第1号
(2013・2・10)
大室山の山焼き

万里美代子
消防隊員の現場待機 撮影ポイント「さくらの里」
消防隊員
今日は2月の第2日曜日、標高580mの大室山山焼きの日である。
忘れて寝坊していたら9時に花火が「ドン」と一発なったので思い出した。2階のベランダから大室山を見たら頂上に何やら大勢の人が見えたが、きっと風向きなどテストをしているのだろうと思った。
遅い朝ごはんを済ませて腹ごしらえをしてから車で大室山に向かったが、すぐ道路は車で身動きできなくなった。少しずつは動くのだが、もう駐車場がいっぱいなのかもしれないと想像して引き返し、途中のホテルに車を置かせてもらって、歩いて大室山に向かった。過去2回は燃え終わったあとの煙だけを見たので、今度こその3回目の挑戦である。
大室山へ上るリフト乗り場へ着くと、山に向かって神主さんを交えた式典が行われていて和太鼓などが準備してある。観光客用の点火(先着70名500円)はすでに売り切れ。これは来年のお楽しみとする。
観光客や地元の人達がそれぞれかっこうの場所に腰を下ろして正午の点火を待っている。私はさらに「さくらの里」まで歩いて行って、程よい撮影場所に陣取った。
カヤに火が燃え移る 大室山 山焼き
山肌を燃え上がる 早や火は山頂へ

ちょうど12時、和太鼓が聞こえ「パンパン」と数発の花火が上がり開始を宣言。尾根の向こう側から「パチパチ」という音が聞こえ煙が上がり始めた。撮影のためか小型飛行機が一台上空を飛ぶ。そのうち炎が地面を這って尾根を越えてきて、目の前の斜面がメラメラと燃え上がった。赤い炎が山肌を這って燃え上がるさまは、まさに壮観、火事場見物の野次馬の心理を理解した。およそ30分足らずで全山が焼け落ち、黒い山になってしまった。観光用の火付け人70名以外は、市の消防団が火をつけるが、また延焼を防ぐ役割も消防団。かっこいい法被姿が裾野の焼け残った萱を葉っぱの付いた木の枝で消していた。
物好きな私はこの焼け山を頂上の噴火口の淵から見たらどんなものだろうと、すぐに動き始めたリフトに乗って山頂へと思いついたが、リフト乗り場の同じ考えの人達が延々と続いている行列を見て断念。三度目の山焼き見物という目的を果たしたので満足して、ほぼ1時間弱歩いて家に帰った。車の人達は結局駐車場が満車で入れず、駐車場化した道路で燃えさかる山を見物。終わってから動き出した
車のナンバープレートを見ると千葉県・静岡県のみならず、尾張小牧とか関西のほうからの車も結構多かった。
来年は早起きして、点火するトーチカ獲得の70名の仲間入りをしたい。
翌朝の伊豆新聞には燃え盛る大室山のカラー写真がトップを飾っていた。
700年続いた伊豆の伝統行事は、春の訪れを知らせる早春の風物詩でもある。
                             伊豆 伊東市在住 万里美代子



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